東京 ホテル

山の上ホテル

神田駿河台の山の上にひっそり佇む山の上ホテル。お隣の明治大学も、今や立派なビルの校舎を構えていますが、山の上ホテルだけは時が止まったよう。

 

昭和12年築の古い建物の中は、ほの暗くとても静か。本の街、神保町からも近いため、出版関係の方が打ち合わせをしていたり、作家らしき人が1人で食事をとっていたりします。いずれもホテルスタッフとは長年の付き合いという風。ホテルのスタッフもどこかゆったりしており、三島由紀夫が

 

「サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい」

 

と書き残したのは有名な話。多分今でもこのイメージを保つ努力をしているのだろうと思います。

 

客室は全74室。山の上ホテルの面白いところは、お部屋がバラエティ豊かだということ。

 

本館和室のお部屋はまるで旅館。畳敷きの床にベッドが。作家の方に人気のタイプらしいです。こじんまりとした広すぎないお部屋も、どこか落ち着くのでしょうね。

 

最近別館7階の改修があり、お洒落なコンセプトルームが誕生しました。家具はあのカッシーナを使っているんですって。でもどこかレトロな雰囲気は残っている気もします。

 

 

インターネットでも予約可能なお部屋も良いですが、狙いたいのは電話でしか予約を受け付けていないお部屋。

 

本館ダブル601号室は通称「モーツァルトの部屋」。
ドアを開けると階段になっており、まるで屋根裏部屋のような造り。ヨーロッパのアパートにでも来た気分に浸ることができます。お部屋にはフルオーディオセットが設置されているので、クラシックを聞きながら、神保町の古本屋で買った本を紐解く、という休日も絵になりそうです。

 

本館デラックスツイン庭付きは「406号室」。庭付きの部屋があるホテルって、聞いたことがないですよね。

 

さて、こじんまりとしたホテルの中には意外とたくさんのレストランが。これなら長期滞在も飽きません。

 

 

コーヒーパーラー ヒルトップ ヒルトップに飾られた池波正太郎の絵(写真私物)

 

池波正太郎が愛した

 

てんぷらと和食 山の上

 

は堅苦しくない雰囲気が良いと思います。
ワインを楽しむことができる

 

葡萄酒ぐら モンカーヴ

 

は地下2階。階段を降りてゆくところから、ワインの蔵に行くようなワクワク感があります。
昔から気になっていた

 

バーノンノン
バーモンモン

 

名前の由来を聞きたいと思いつつ、いつも恥ずかしくて聞けないのは何故でしょう(笑)。
どちらも本格的なバーで、席も少ないので、バーテンダーとの会話を楽しむことができる、正に大人のバーです。背伸びせず、バーテンダーさんにいろいろと教わってみると新たな発見があるかもしれません。

 

山の上ホテルは古いです。でも

 

こんな場所を残していてくれてありがとう

 

と思う、不思議な空間です。新しいものばかりになった東京にいると、逆に新鮮に感じるのは私だけでしょうか。


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